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2013/01/10 New Diplomacy Initiative 設立プレシンポジウム 新政権に問う -日本外交がとるべき針路は-

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 2013年1月10日(木)16時から、東京都千代田区の参議院議員会館で、「New Diplomacy Initiative 設立プレシンポジウム 新政権に問う -日本外交がとるべき針路は-」が行われた。『New Diplomacy Initiative』は、猿田佐世氏が中心となり、2013年の夏に発足予定のシンクタンクである。今回はプレシンポジウムとして、鳩山由紀夫氏の講演や、鳥越俊太郎氏、藤原帰一氏、マイク・モチヅキ氏による対談を通して、今後、目指すべき外交の方向性、日本の抱える課題などについて話し合われた。

■講演
 鳩山由紀夫氏(元内閣総理大臣)
■パネリスト
 鳥越俊太郎氏(ジャーナリスト、New Diplomacy Initiative 理事)
 藤原帰一氏(東京大学教授、New Diplomacy Initiative 理事)
 マイク・モチヅキ氏(ジョージ・ワシントン大学教授、New Diplomacy Initiative 理事)
■コーディネーター
 猿田佐世氏(弁護士〔日本・米国ニューヨーク州登録〕、New Diplomacy Initiative 事務局長)
■主催 New Diplomacy Initiative

 はじめに、猿田氏が、自身がワシントンD.Cに住んでいた経験から、「日本の対アメリカ外交を、アメリカ側から見た時に、日本から伝わる情報量の少なさに問題意識を持った。それがきっかけで『New Diplomacy Initiative』というシンクタンクを立ち上げることを決めた」と語った。

 鳩山氏は講演の中で、「アメリカの意向を最優先するのが、現在の日本であるが、日本のプレゼンスを示しながら、平和に導いていくために、市民外交は重要である。その点でも『New Diplomacy Initiative』には期待している」と述べた。続いて、2012年の衆議院選挙について、リベラルなメッセージがあまり聞こえてこなかった、と指摘した上で、「勇ましい言葉の先に、この国に対する真の意味での、愛国心があるのか疑問である。EUが安全弁として機能しているように、東アジア共同体も、究極的には、安全保障を柱にしていかなければならない。過去の私の判断が、アメリカを刺激してしまったことは申し訳なく思うが、アメリカに協力してもらうことも必要である。皆さんも傍観者ではなく、意見を主張していただくような立場での、参加をお願いしたい」と述べた。

 続くシンポジウムの中で、冷戦終結後、大きな世界史の転換を取材してきた鳥越氏が、「アメリカによるアメリカのための日本」が占領時代から存在し続けている点を説明し、「実態は、アメリカに追随従属しているのが、日米の真の姿である」と指摘した。

 モチヅキ氏は「米国は冷戦中、戦略として、日本を他のアジア諸国から分断して、一貫してアメリカ側につかせていた。現在、中国が台頭していることによって、日本と中国の対立関係を保とうとする、アメリカの政治家が一部にいるが、主流の見方ではない」と述べた。その上で、尖閣問題が、長い年月をかけて築いてきた友好関係を危険に晒すことを危惧し、「平和と協調を目指すために、市民レベルでの歴史認識の見直しと対話が必要である」と述べた。また、沖縄の米軍基地問題については、現在の米国の財政危機は大きなチャンスとし、「海兵隊の規模も縮小せざるを得なくなるだろう。沖縄の負担を減らし、日米関係を強化しながら、海兵隊をアメリカ本土に移すことも可能である」とした。

 藤原氏は「2012年の衆院選は、民主党に対する不信任投票であり、日本の政治から左翼、革新というグループを最終的に解体してしまう選挙だったと思う。そのような状況下で、国内における自由の拡大と、新たな国際関係を作っていくような、広い意味でのリベラルな外交が今後の課題であり、反米ナショナリズムや、事実上の孤立主義としての平和主義でなく、これまでの自民党、共和党が作ってきた日米関係でもない、新しい関係を築くために、このシンクタンクが機能すればと思っている」と述べた。

 日本の歴史認識について触れたモチヅキ氏は、「北東アジアにおいて、歴史教育は曲げられてしまい、正確な事実が伝えられているとは思えない。過去を見つめて、過去の過ちから学んでいく必要がある」と述べ、日中韓での包括的な歴史認識と、市民レベルでの対話が必要である、と指摘した。 

 領土問題について、鳥越氏は「過去の歴史を見ると、必ず領土紛争がきっかけで、戦争が起きている。一方的なナショナリズムで、お互いに言い募って、戦争を始めることは、人間の過去から学ばない最も愚かしい行為である。鄧小平が言ったように、棚上げするのが当面の懸命な判断である」と述べた。藤原氏は「相手国から、自国を見ることができるかどうか、というリベラルな視点が必要」と述べた。

 最後に、モチヅキ氏は「外交は、専門家の肩に掛かっていることが多いが、そのツケを払わせられるのは一般の人々である。感情に支配されたものではなく、熟慮された意見や、市民の声が反映された外交を目指すべきである」と語った。【IWJテキストスタッフ・富山/奥松】

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