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2013年2月13日(水)15時から、東京都内のIWJ事務所で「柳澤協二氏インタビュー」が行なわれた。元防衛官僚であり、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏が、岩上安身のインタビューに応じた。柳澤氏は、北朝鮮が核実験を行った背景には、アメリカに対する自己認知の要求があると説明し、北朝鮮と周辺各国の関係性を解説した。
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■以下、インタビュー実況ツイートのまとめに加筆・訂正をしたものを掲載します。
柳澤協二元防衛研究所所長緊急インタビューの模様を実況します。
柳澤氏「私は、(北朝鮮が)核実験をいずれやろうとしているとは思っていた。2006年7月5日、アメリカの独立記念日にミサイルを発射している。今回は、時期を選ぶ余裕もなかったのではないか。なぜ昨日か、ということを考えても仕方ないのでは。
米国に対して、前日に通告を出している。そのことは、日本にも伝えられた。北朝鮮がメッセージを出しているのは、米国に制裁解除を求めているから。金正恩体制を安定的なものにしたいのだろう」
岩上安身「2月4日から、米韓合同軍事演習が行われた。韓国のパク・クネ新大統領が就任式を控えている」
柳澤氏「本質的な動機を考えるのが大事です。おそらく、米国から食糧援助を受けたいのでしょう。北朝鮮が見ているのは、日本ではなく米国。
爆発規模は、数キロトンと報道されている。これが事実なら、かなり小型化された核兵器です。これは、米国が20年かけて洗練させてきた技術。この程度の規模なら、通常火薬での爆発でも可能。
米国は、やはりこの事態を放っておけない。北朝鮮一国であれば、制裁し、中国を介して交渉すれば良い。だが、これを放っておくとイランに飛び火する。北朝鮮とイランが連携して、核が拡散することを米国は警戒している。
日本は拉致問題を抱えているので、米国と北朝鮮の間に入りづらい。北朝鮮としても、この先のシナリオが読めていない。実戦向けの兵器を作れば、それは使えない、という核のパラドックス。
小型化していれば、ノドンにも積める。そうなれば、日本も射程に入る。日本政府も、もちろん警戒しているだろうが、あまり把握できていないだろう。私が政府に入っていたときも、防衛白書は推測の記述のみだった」
岩上「沖縄や横須賀、横田などの米軍基地に撃ってくるのでしょうか?」
柳澤氏「まずはスカッドミサイルで、在韓米軍を、それから在日米軍と在ハワイ米軍を狙う。しかし、報復があることを考えれば、それはあまり現実的な話ではないでしょう」
岩上「いきなり永田町や霞ヶ関を狙うことはありますか?」
柳澤氏「日本も、太平洋戦争でまずは真珠湾を攻撃した。第一撃では、返す刀を封じるのが常道です」
岩上「中国が、北朝鮮をどうしたいのかよくわからない。中国からの直接投資により、北朝鮮は建設ラッシュだという。中国と北朝鮮は貿易を拡大しており、北朝鮮を支えているのは中国。北朝鮮は、中国の傀儡国家なのでしょうか?」
柳澤氏「中国は、北朝鮮を改革開放させたいのだと思う。その一環として、直接投資しているのではないか。だが北朝鮮は、中国の言うことを聞いている余裕がない。金正日の時に改革開放しようとしたが、あれは中国の顔色を窺っただけ。
中国は、自分達の成功例を北朝鮮に真似させたい。さらに、中国はバブルなので、北朝鮮を直接投資先にしている。しかし北朝鮮は『返さなくていいのか』と、逆に強い態度に出ているようだ」
岩上「中国は、東アジアで長きに渡り、冊封体制を敷いてきた。かつての高句麗は、中国と戦ったこともあれば、手を結んだこともある。北朝鮮のミサイルが北京にも届くと中国側は考えていないのか?」
柳澤氏「中国と北朝鮮は、川一本を挟んでいるだけ。兵隊が泳いで渡れる距離です。中国は、北朝鮮のことを国内問題だと認識していると思う。北朝鮮で混乱が起こると、中国の海洋進出のシナリオが損なわれる。中国自身も北朝鮮に手を焼いている。中国も米国も、北朝鮮にかまう余裕がなかった。
中国とロシアは、緩衝地帯として北朝鮮が必要。朝鮮戦争でピョンヤンが落ちたとき、中国の人民解放軍が介入してきた」
岩上「米国は、対アジア戦略を転換している。クリントン前国務長官の『pivot to Asia』という演説。さらには、米韓合同軍事演習や、2014年のリムパック(環太平洋合同演習)。安倍総理の対中包囲網『セキュリティダイヤモンド構想』」
柳澤氏「米国のアジアシフトは、相対的なものだと思う。財政の崖ということもあり、軍事費を削減している。相手の短距離ミサイルに対して、長距離ミサイルで攻撃するという軍事構想。沖縄からも引いていく。
米国は、シェールガスの開発が進んできたので、エネルギー輸出国になろうとしている。中東に対する米国の経済的関心は落ちてきているのではないか。
今、米国がアジアで何をしたいのかわからない。イラク戦争時、日米が『最高の関係』にある時点での集団的自衛権。今は、日中のいざこざに米国が巻き込まれるかもしれない、という危険性。
尖閣や慰安婦に関する日中間の争い。これは、市場経済に移行し、経済的にフラットになった結果、自己認知をめぐる争いが起きている」
岩上「ヘーゲルの言うところの認知をめぐる闘争。日清・日露戦争が、正しかったという司馬史観を見直す必要がある。朝鮮半島を戦場にしてきたという歴史がある」
柳澤氏「知的な自己認知の問題として見直さなければならない。一方、国防軍について。地政学研究所でシンポジウムをやった時、韓国側から、『周辺諸国に祝福されるかどうかはあなた方次第だ』と言われた。その通りだと思う」(了)
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