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国際秩序の大変動期に中国、韓国、米国と駆け引きを始めた北朝鮮! どうなる、東アジアの安全保障 日米中韓豪5カ国研究報告シンポジウム

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 平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックに北朝鮮の参加が決定した2018年1月以降、朝鮮半島をめぐる動きは、中国や米国も絡みながら新たな局面に向かっている。

 2月の平昌五輪で南北融和ムードが高まったあと、3月6日に韓国の閣僚級の特使が北朝鮮を訪れ、金正恩(きむ・じょんうん)朝鮮労働党委員長と会談。特使は直後に米政府への結果報告のためホワイトハウスを訪問し、3月8日、「トランプ大統領と金正恩委員長の米朝首脳会談が5月に行われる」と発表して内外に衝撃を与えた。

 そして、金正恩委員長は3月25日から3月28日にかけて極秘に中国を訪れ、習近平(しゅう・きんぺい)国家首席と会談。4月末に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との南北首脳会談、5月に予定されているトランプ大統領との米朝首脳会談を控えて、自らが中国への根回しに動いたと見られている。なお、東アジアの安全保障の構図が一変する可能性が見えたこの時、日本は完全にカヤの外に置かれていた。

 3月29日に板門店(パンムンジョム)で行われた南北閣僚級協議では、南北首脳会談の日程が4月27日と発表された。この会談で韓国側は、朝鮮半島の非核化、軍事的な緊張緩和なども提案したと伝えられている。

 このような情勢を踏まえて、2018年3月31日、東京都内で新外交イニシアティブ(ND)が主催する日米中韓豪5カ国研究報告シンポジウム「どうなる、東アジアの安全保障~北朝鮮問題や米中覇権争いをめぐって~」が開催された。東アジアの安全保障問題について、日本、米国、中国、韓国、オーストラリアの研究者たちがそれぞれの視点から解説を行い、今後の方向性や日本の果たすべき役割を探った。

▲ND評議員、元内閣官房副長官補・柳澤協二氏

 北京大学国際関係学院院長の賈慶国(か・けいこく)氏は、中国の説得にもかかわらず核実験を実施するなど挑発的だった北朝鮮が変化したのは、中国による非常に厳しい経済制裁が効果を上げたからだと分析し、さらに、「米韓の合同軍事演習が、より戦争に近い想定で行われることになり、金正恩委員長は韓国、アメリカ、中国との対話の必要性を感じたのではないか。中国の習近平氏と金正恩委員長の会談が実現したのは、両国にその必要性があったからだ」と語った。

 進行役の柳澤協二氏(ND評議員、元内閣官房副長官補)は、北朝鮮の非核化と日米関係について、「アメリカと中国の力関係が変わってきている今、親米をアイデンティティにしてきた日本の立場が揺らいでいる」と指摘する。米国は、北朝鮮が日本に届くミサイルを持っていても自国に届かなければいいと妥協してしまうかもしれないと懸念し、「日本が、あると思っていたアメリカの核抑止力は本当にあるのか。これまで考えずに済んでいたことを、自分の頭で考えなくてはいけない」と説いた。


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