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【特別寄稿】安倍総理4選と日米安保の「強化」を培う新型肺炎~ウイルス禍と中国包囲網再構築

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序- 錯綜する思惑

 中国・武漢発とされる新型コロナウイルス感染症が新型肺炎と呼ばれ、世界中の人々を震撼させている。

 日本は3月に入ると、一部では心理的な恐慌状態に陥った。スーパーの棚からトイレットペーパーが瞬く間に消えた1973年の第一次石油ショック、1989年昭和天皇死去に至る延べ5か月にわたる自粛に次ぐ自粛の異様な畏縮(いしゅく)騒ぎの光景が2つ、現在の状況に折り重なって見える。同調圧力に弱く、やすやすと総動員されてしまう危うさから抜けきれない日本人の欠点が今、突かれているのではないか。

 今回の新型ウイルスを巡る騒動は、グローバル化が進展して事態が錯綜し、全体像をとらえるのが難しい。ウイルス禍拡大防止に名を借り、首相がコロナ対策には何の役にも立たない「非常事態宣言」ができる新型インフルエンザ対策特別措置法改正案を持ち出し、これに共産党とれいわをのぞく野党のほとんどが乗って13日に可決した。

▲安倍晋三内閣総理大臣(2020年2月17日、衆議院予算委員会インターネット中継より)

 これは、自民党憲法改正案の「緊急事態条項」の実験台としたい安倍政権の思惑が透けて見えるし、中国共産党による一党支配体制潰しに本腰を入れた米国が軍事アセットとしての日米同盟をこの機にどう活かすか、治療薬やワクチン開発にしのぎを削る多国籍製薬企業と世界保健機関(WHO)の癒着疑惑など、複数のテーマが複雑に絡む。

 政権延命の突破口を見いだそうともがいてきた安倍政権は、特措法がすんなり通過したことで、安堵したに違いない。その先にあるのは2021年9月の安倍首相の自民党総裁連続4選だ。

 ロシアを訪問した自民党の世耕弘成参院幹事長は、3月6日付掲載のイズベスチヤ紙のインタビュー記事で、トランプ米大統領やロシアのプーチン大統領と良好な関係を築いている安倍晋三首相に対し「世界は辞めることを許さない」と発言。首相側近議員が新型ウイルス禍のただ中、さっそく「総裁連続4選に期待」とのアドバルーンを揚げた。

 安倍に4選まで許し、日本において超長期政権化を築かせようとする者は一体何者なのか?

 中国を徹底して封じ込めようとする米国の戦略を実現するにあたり、日本をこのまま長期間にわたり、ぶれることなく隷属させ続けようとするワシントンの強固な意思のあらわれと見るべきだ。米国へのさらなる従属、それが安倍政権の「使命」であり、レーゾンデートルでもあるからだ。

 新型コロナウイルス禍を巡って起きている、可視化されにくい一連の動きを探ってみる。


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